「おもてなし」とは
「ユーザー・エクスペリエンス」の日本語訳をブログで募集した際に、それに応募したNaotakeさんの案で、著者が普及させようとしている言葉だそうです。直訳だと、「ユーザーにとっての体験」のこと。
本書では、「ユーザー・インターフェイス」とは似てるけど、違うとして、ディズニーランドやスターバックスを例に「おもてなし」を説明しております。まさに体験させるわけです。
この「おもてなし」を実現するためには
アップル・ニュートンのチーフアーキテクトのスティーブ・キャプスの言葉
「マイクロソフトのプロダクツにはソウル(魂)がない」
ソウルが重要となるのですが、この「ソウル」=「こだわり」には、以下の2種類がある
1)作るほうの自己満足のための「こだわり」
2)使う人の満足度をとことん上げるための「こだわり」
1)を著者は「床屋の満足」と名付けてますが、あの刈り上げた青い頭の絵が浮かぶすごく良い表現だと思いました。カットしてもらった直後の頭って恥ずかしいですもんね・・、「床屋の満足」ではあるけども、お客さんは満足してないわけです。
それに対し2)は、「おもてなしのこだわり」なのですね。
著者は、「おもてなしのこだわり」の例として、アップル以外に、任天堂の岩田聡社長の2005年の東京ゲームショーでの基調講演を挙げております。
また、iphoneを例に挙げ
こうやって考えてみると、iPhoneのすばらしさは、ある意味では日本人が本来得意であった「刀」や「蕎麦」で実現してきた、「職人が魂を吹き込んで作る」というものづくりの姿勢にあるのではないかと思えてくる。
普通の職人なら「刀なんて切れさえすれば十分」と思ってしまうところを、卓越した職人が「究極の切れ味」を目指して別次元の完成度に高めてしまう。同様に食べることさえできればいいはずの蕎麦を、試行錯誤を重ねて芸術のレベルに高めた蕎麦職人たち。iPhoneでは「おもてなし」にとことんこだわりを持つスティーブ・ジョブズという職人がいたからこそ実現できた、ある意味での「芸術品」なのである。
とまで述べてます。でもね・・・、私、iPhone持ってないし、iPhone持ってる人に合ったことないし・・、iPhoneがどんなだか店頭でちょっと触っただけじゃ、イメージ湧かんのです・・・。
著者がここまで言うくらいだもんな、欲しいなぁ・・・。
また、アップルがi-podで「おもてなし」を実現でき、出井さん時代のソニーができなかった理由として、スーツとギーグの対立を上げております。
そして、このスーツとギーグについて、テクノロジーの会社が伸びるときの条件を以下のようにすっきりと整理しております。
1)ギーク族の心をつかむのが上手なスーツがリーダーシップをとったとき(ここ数年のアップル)
2)抜群のビジネスセンスを持ったギークがリーダーシップをとったとき(1990年代のマイクロソフト)
3)ギークとスーツが絶妙のコンビを組めたとき(昔のソニー)
この整理を見る限り、アップルだけがこの条件を満たしているわけですね。
なので、著者は、「家電の新3種の神器」である、デジタルカメラ、薄型テレビ、DVDレコーダーに対し、アップルが何をしてくるか注目と述べております。徹底した利用者視点で、ネットワークを活用し、「おもてなし」を提供されたら・・・・、日本のメーカー、大丈夫か?
ココについては、第3部の梅田さんの対談で、更に深く掘り下げております。コレが、興味深いんだな。(後で書きます。)
本書で一番濃い内容なのが、この第1部。コンシュマー相手のビジネスをしている方は、読まないと差がつくのでは?と思いました。
また、日本刀や蕎麦といった著者独特の表現力が素晴らしい。
私、「たまにいい言い回しや表現をする」と尊敬してる人に言われたことがあり、その精度を上げ武器にしたいと思っておりました。
(「たまに」というのは褒め過ぎで、「ごくたまに」ってのが実態なんだというのは理解してます・・・。しかも、ワンフレーズ・・・。)
そんな文系の私としては、この「表現力」についても考えさせられる1冊でした。

