2011年09月25日

☆☆☆☆☆「父として考える」東浩紀・宮台真司著

父親になって感じていたモヤモヤをスッキリさせてくれたスゴ本。僕のような悩める父親達におススメ。
著者は、東氏宮台氏

本書の構成は以下のとおり
第1章 親子コミュニケーションのゆくえ-家族を考える
  時間感覚の変化
  宮崎アニメへの反応 ほか
第2章 子育てを支える環境-社会を考える
  ロスジェネ系議論の問題点
  専業主婦願望の背景 ほか
第3章 均質化する学校空間-教育を考える
  グループワークができない子どもたち
  なぜ班活動は衰退したのか ほか
第4章 コネ階級社会の登場-民主主義を考える
  運命の出会いと必然性信仰
  バックドア問題 ほか


読んでて、自分のなかのモヤモヤが消えていき、頭の中がどんどんクリアになっていくスゴ本でした。
特にモヤモヤを振り払ってくれたのは、以下のやりとり。

娘が3歳、息子が6歳ということもあり、このやりとりに、共感。
宮台 子どもの様子を毎日見ているのですが、着実に成長しているのがわかります。ピアジュの発達構造化仮説によると、あるステイタス(発達段階)のときにある刺激を受けると、ステイタスが一から二に変わる。ステイタスが変わると、以前意味があった刺激に意味がなくなり、いままで意味がなかった刺激が意味を持ち、その新しい刺激を受けて今度はステイタスが二から三に上がる。神経質になっても仕方がないけれど、東さんがおっしゃるように、あるステイタスのときに特定のコミュニケーションをし忘れると、そのときに意味があった刺激がそうでなくなるので、「だったら時間を有効に使わなくてはいけない」と思うようになりました。
東 おっしゃる通りです。5歳、6歳までが決定的に重要な時期だと思いますが、結局そのときは一回しかない。取り返しがつかないわけです。この時期を親としてどう過ごすか。
これはじつは、大人と対するときにはない感覚なんですよね。むろん来年の宮台さんはいまの宮台さんとちがう存在ですが、しかしたいていは意識しないでコミュニケートしている。大人にとっては、今年も来年も同じ。仕事の時間は結局は「循環する時間」です。他方で子どもは「成長する時間」を持っている。そういう違う時間性を持つ存在が、同じ家の中に現れた。

時間を大事に、意識して多様な刺激を与え続けていくことに集中したいな。

このやりとりにも共感。子供が出来ると「家」「地域」に対する考え方が、ガラリと変わる。
宮台 いままで住処を探すときは、部屋の広さや便利さを重視して、一戸建てだとゴミ出し当番とかあって面倒くさいな、と思っていました。
ところが、ゴミ出し当番でも、旅行などで都合の悪いときには順番を代わってもらうとか貸し借りの関係ができると、それが絆のよすがになります。僕は「絆コスト」と呼びますが、そうしたことも子どもができて意識できるようになりました。
東 僕はマンション住まいですが、似たことは感じます。「成長する時間」の問題と関係しますが、大人の場合は結局、いくら引っ越しを繰り返したとしても、それぞれ「かつて住んだ場所」のひとつにすぎない。いまある場所に根を下ろしていたとしても、潜在的にはいつでも動ける。唯一の場所にならない。ところがうちの娘にとっては、いま、たまたま住んでいる「この場所」が原風景になってしまう。
(略)
東 子どもにとっては根無し草という概念はありえません。いくら短い期間でも、ある場所にいればそこに根をはやしてしまうし、それは一生の中で特別な経験を構成する。親にとっては流動性だと感覚されているものが、子どもにとっては流動性ではない。この「世界観のギャップ」は重要だと思いました。いまの社会では、すべての決定で流動性が前提となっているというか、流動性の確保こそが正解=リスクヘッジだと見なされる傾向がある。しかし子どもの存在はその前提に真っ向から挑戦してくる。
宮台さんの話に繋げると、子どもがいると住民ネットワークに入りたくないとは言えなくなるということですね。だってそこに入らないと、子どもにとって唯一の経験の機会が失われてしまうわけですから。そちらのほうがコストが高い。
宮台 僕も感じます。子どもにとっての「ホームベース」(本拠地)ということだと思います。増築するか引っ越しするかが課題になったとき、娘がいつも行っている公園が三つあって、それぞれの人間関係の中でいつも遊んでいるので、それが続けられなくなるというのはあまりにも不憫じゃないかと妻と話し合いました。それで「ホームベース」を維持するために、引っ越しはありえないという結論になりました。

子どもができると、ノマド的考え方は、無理が出てくる。一時期、物凄く悩んだ時期があって、本書を読むまでモヤモヤを引きずっていたのだけど、本書のおかげでスッキリ!!

そう、お受験に対するこの考え方にも、スッキリ!!
子どもが小学校に入るときにお受験すれば、幼稚園まで続いた地元の人間関係が、やはり崩れてしまいます。僕はまだお受験させるともさせないとも決めていないけれど、たとえお受験する場合にも、地元の人間関係が切れるというコストの大きさをちゃんと意識しておくべきです。

子どもは人間関係のなかで成長するのに、その関係が切れるコストは、そこそこ大きい。

この考え方にも共感
宮台 いまの若い人たち、とりわけ男子の大きな問題は、自分は将来結婚できないんじゃないかと思っていること。もしその通りになれば、子どもを通じてつくられる人間関係や、そうした人間関係から得られる体験とは、無縁なまま一生を送ることになります。単に子どもに関わる体験が得られるかどうかだけでなく、より広い社会関係へと開かれることができるかどうかという問題です。
東 同感です。僕も子どもができたことで、都市の見方が大きく変わりました。それまで便利だと思っていたJR中央線沿線が、逆に不便に感じられるようになった。

学生や独身、DINKS達にとって、多摩は退屈な場所かもしれないが、子どもがいる家族にとっては、むちゃくちゃ住みやすい場所なのだ。就職、結婚等、いろいろステージは変わるけれど、子どもができるというのが一番、価値観が変わるタイミングなんだと思うな。私自身、狩猟型から農耕型に変わった自覚あり。

これは笑った。でも、その通りだと思う。
宮台 「幸せになる」という観点から言うと、多少勉強ができるよりも、異性にモテたほうが、男にとっても女にとっても、絶対に「幸せへの近道」だと思います。

頑張れ、息子!(娘は何とかなりそうな気がする・・・。)

学歴に対するこの考え方にも、共感。
東 そもそも学歴や資格は、そこに行っても通用するけれど、そのぶん薄っぺらな数字でしかない。裏返せばそれらの数字は、本来の固有の才能が花開かなかったときのためのリスクヘッジの道具でしかない。ほとんどのひとがそれを誤解している。
人生というのは、それぞれの人間の固有のものなので、定式化できないところに豊かさがある。それがなかった場合、仕方がないから呼び出すものとして学歴や資格がある。そう考えるべきです。学歴は、なにかを達成するためのステップではなくて、なにかを達成できなかったときに、しかたなくしがみつく緊急避難先としてあるべきなんですよ。
自分自身、なぜ自分が東大に行ったのかと言えば、それは高校生の頃に明確な目的を持っていなかったからということに尽きる。もし当時、ちゃんと固有の目的を持って、これが自分の人生でこういうふうに人間関係を築くんだと覚悟が決まり、親を説得する能力もあったならば、別に東大なんか行かなくてもよかったはずです。でもその能力は僕にはなかった。だから東大に行った。学部でもそれがなかった。だから大学院に行った。東大博士号はいまでも役立っているけれども、自分にとって本当に大事なものはそんな学歴のエスカレーターとは別のところにあるので、10代の頃に戻ってちゃんと決断できたらぜんぜん別の人生を歩むと思う。
これは自戒も込めて思いますが、最近の世の中ではリスクヘッジが重視されすぎている。要は不安ベースの社会ということですが、学歴の問題に限らずあらゆる問題に関して同じことが言える。リスクヘッジのための選択が第一に来ていることが、いろいろな歪みの原因だと思います。

苦労を苦労と思わないくらい「好き」な対象を見つけることが一番。で、リスクヘッジとしての進学。勉強だけでなく、「好き」な対象を見つける手伝いをしてやりたいと思ってます。

僕も経験したけど、コレは大事だと思う。
宮台 複数のコミュニティへの所属は大切です。ある島宇宙ではトップだけど、別の島宇宙だとボトム。自分はできると思っていても、別のグループに行けばまったくできない。「世の中そんなものだよ」と教える絶好のチャンスです。


締めのこの言葉も良かった。
宮台 子どもは知識やしつけから学ぶのでなく、体験から学ぶということです。体験から学んだ子だけが、知識やしつけを幸せのために役立てることができます。なぜか。理由は簡単です。「ひとを幸せにできるひとだけが幸せになれる」ことを学ぶからです。これを学べない子が幸せになることは、絶対にありません。


さて、午後は、子どもたちを連れて、公園にでも行って来ようかな。

父として考える

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著者:東浩紀
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posted by J at 12:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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